WEB3.0

Web3.0とは?メリット・デメリットや代表例を初心者にもわかりやすく解説

最近耳にする機会が多い「Web3.0(Web3)」。Web1.0やWeb2.0に続き、次世代のインターネットと呼ばれています。しかし、Web3.0とは何なのか、これまでとはどこが違うか分からない人が多いのではないでしょうか。

この記事ではWeb3.0とは何か、仕組みや活用のメリット・デメリットなどを詳しく解説します。この記事を読んで、Web3.0の知識を身につけてくださいね。

Web3.0とは何か?読み方から意味までわかりやすく解説

Web3.0(ウェブスリー)またはweb3.0(ウェブサンテンゼロ)とは、ブロックチェーン技術を利用した分散型のインターネットです。2014年にイギリスのコンピュータ科学者でありイーサリアムの創設者キャビン・ウッド氏が提唱しました。

これまでは管理者がいる「中央集権型」のサービスでしたが、2018年頃から個人でデータの所有権や取引の管理ができる「分散型」に変化しています。

Web2.0では、個人情報(年齢・住所・ネット上の履歴など)が企業に知られたり、ハッキングされた場合の個人情報流出などの問題点がありました。この問題点を根本的に解決してくれるのが、「次世代インターネットWeb3.0」です。

Web3.0時代の背景と定義

そもそも「Web」とは、「ワールドワイドウェブ」の略で、「世界中に広がる蜘蛛の巣」を意味します。世界中に張り巡らされたネットワークを、蜘蛛の巣のようであると表現した言葉です。現時点では、Web1.0、Web2.0、Web3.0まで構造が進化しました。

各年代と定義については以下の通りです。

Web1.0 1989年~2000年代初頭 ユーザー側の閲覧のみ可能で、情報の流れが一方通行の「中央集権型」
Web2.0 2000年代半ば~現在 SNSの普及により、情報を双方向からやりとりができる「中央集権型」
Web3.0 2018年頃~現在 管理者を必要とせず個人での管理・やり取りができる「非中央集権型(分散型)」

Web3.0の仕組みを簡単に解説

Web2.0とWeb3.0の仕組みの違いは、「個人データの管理方法」にあります。今までは企業がデータを管理しており、プラットフォームを介してビジネスが行われていました。Web3.0ではブロックチェーン技術の活用により、データの分散的な記録・管理の実現が可能です。

さらに基盤となる仕組みだけでなく、データの所有権も変化しています。Web2.0ではユーザーが制作・発信したコンテンツでも、企業側が所有権を独占していました。Web3.0ではユーザー自身が所有権を持てるようになっています。

Web3.0のブロックチェーンの特徴

ブロックチェーン技術とは、取引履歴を1本の鎖のようにつないで管理する技術です。ブロック(データ)をチェーン状(鎖)にするというイメージから、ブロックチェーンと呼ばれています。

ブロックチェーンの特徴は、取引された記録を「分散型台帳」という仕組みを使って、ユーザーに分散させて保持している点です。分散管理することでデータが複雑になり、簡単には改ざんができなくなります。

中央管理者を必要としないのでサーバーダウンに強く、スムーズな取引ができることもブロックチェーン特有の特徴です。

Web3.0を活用したサービスの代表例を紹介

ここからは、Web3.0を活用したサービスの代表例を5つ紹介します。

1.OpenSea(オープンシー)【NFTマーケットプレイス】

OpenSeaとは、NFT作品(偽造不可なデジタルデータ作品)を取引できる世界初のNFTマーケットプレイスです。世界の中で最大規模のマーケットプレイスで、さまざまなチェーンを利用してNFTとユーザーをつないでいます。

OpenSeaと関連しているブロックチェーンは以下の通りです。

・Ethereum(イーサリアム)

・polygon(ポリゴン)

・Klaytn(クレイトン)

・Solana(ソラナ)

・Arbitrum(アービトラム)

・Optimism(オプチミズム)

・Avalanche(アバランチ)

・BNB(旧BSC/バイナンススマートチェーン)

2.Brave(ブレイブ)【検索エンジン】

Braveとは、SafariやGoogleChromeのようなWebブラウザの1種です。Web3を活用している検索エンジンとして注目され、徐々に利用者が増えています。ブラウザの高速表示や、広告ブロック機能が最初から内蔵されていることなどが、人気の理由です。

BraveはWeb3.0を活用しており、検索すると瞬時に複数のサーバーを経由して接続を暗号化します。そのためセキュリティが強固され、安心して検索が可能です。さらにバッテリー消費量や通信容量の削減、閲覧履歴のデータ漏えい防止などの特徴もあります。

3.Steemit(スティーミット)【ソーシャルネットワーク】

Steemitとは、世界初のブロックチェーンSNSです。2016年3月にリリースされ、現在世界のユーザー数は100万人です。SteemitはブログなどのSNS活動によって報酬を得る仕組みで、写真や記事を投稿すると以下の3つの暗号資産を得ることができます。

・Steem

・SteemPower(SP)

・SteemDollars(SMD)

Steemit内でおもに利用されている通貨は「Steem」です。Steemの発行上限が定まっていないことによるインフレから、補助通貨としてSPやSMDが使用されています。

記事を書いたり投稿を評価すると報酬が貰えるという手軽さから、今後利用者が増えると考えられるでしょう。

4.IPFS【クラウドストレージ】

IPFSとは、InterPlanetary File Systemの略で、中心となるサーバーが不要のネットワーク公開・配信サービスです。ノード(スマホ・テレビ・ゲーム機・プリンターなど)が形成したネットワークで、ノード同士のデータ保存やアクセスできる仕組みを持っています。

IPFSはアクセス集中によるサーバーダウンを防ぐため、複数の同じコンテンツを持つサーバーの中から、より距離が近いサーバーを選ぶことが可能です。

実際にWebブラウザの「Brave」がIPFSのサポートについて発表したり、Ethereumが主要サイトethereum.orgをIPFSでホスティングすることを発表したりなど、サービスの利用が増えています。

5.The Sandbox(サンドボックス)【NFTゲーム】

The Sandboxとは、NFTとメタバースを組み合わせたブロックチェーンゲームです。メタバース(仮想空間)内のLANDと呼ばれる土地を購入し、オリジナルの空間を作成して楽しむことができます。

The SandboxはEthereumブロックチェーンが基盤です。そのため、アイテム売買などの取引を行った場合に、不正や改ざんがしにくいという特徴があります。

Web3.0のメリット・デメリット

Web3.0は、Web2.0の問題点を解決できることから、多くのサービスが活用しています。今後日常的に活用するためには、メリットとデメリットを知っておくとよいでしょう。

メリット

まずはメリットを3つに分けて解説します。

1.セキュリティの向上

Web3.0は、Web1.0やWeb2.0と比べるとセキュリティレベルがはるかに向上しています。Web2.0は中央集権型であることから、企業がユーザーの個人情報や履歴データなどを独占してきました。万が一ハッキングやサイバー攻撃を受けてしまうと、これらの情報が漏洩してしまうリスクがあります。

そこで、新たな概念Web3.0を活用してデータを分散管理させることで、リスクを最小限に抑えることが可能になりました。セキュリティは今後さらに強いものに改良していくと予想されています。

2.個人で直接取引ができる

Web3.0で1番の大きなメリットは、個人同士で直接取引ができる点です。以前は仲介者を通しての利用が主流だったため、取引に時間がかかったり、仲介手数料が発生したりなどの問題がありました。

Web3.0では全て個人で取引や管理できることから、手数料なしでスピーディな取引が実現できます。

3.国境制限が無く利用できる

現代のインターネットは、国によってWebサイトの閲覧を制限されたり、同じサイトでもURLが異なっている場合があります。検閲システムがある中国では、政府により有害とされるサイトに制限がかけられ、そのようなサイトの閲覧ができません。

Web3.0では管理者がおらず個人で管理するので、世界のどこからでも国境にとらわれず同じURLでサイトを閲覧できます。

デメリット

次にデメリットを3つに分けて解説します。

1.全て自己責任となるハードルの高さ

Web3.0は、個人で全てを管理しなくてはならないため、データの保管やパスワードの取り扱いが自己責任になります。データを誤って無くしてしまっても、Web2.0時代のようにカスタマーサポートなどは無く、周りに助けを求めることができません。

大事なパスワードなどはメモに書いて大切に保管しておくなどの対策が重要です。

2.詐欺のリスク

Web3.0では、ハッキングや詐欺が多く問題になっています。Web3.0のように金銭が絡むサービスは、詐欺を計画する人が多い傾向にあります。Web3.0は個人間のやりとりのため、サポートしてくれる人がいないので注意が必要です。

利用を考えている場合は、まずリスクに備える必要があります。デバイスを2段階認証にしたり、秘密鍵の保管には十分に注意するなどの対策をしましょう。

3.法整備ができていない

Web3.0は比較的新しい概念のため、法整備が整っていないのが現状です。もし、ユーザー同士でトラブルが起こった場合でも、明確な法律が無いので自分達で解決しなくてはいけません。

法整備が整うまでは、大きなトラブルはなるべく避けることなどの心がけが大事です。

Web3.0に関連する仮想通貨

Web3.0は仮想通貨と関連しており、サービス利用によって仮想通貨を報酬として得る仕組みなどがあります。Web3.0は、今後メタバースやNFTの需要に伴って普及すると考えられており、関連する仮想通貨も今後需要が増していく見込みです。

関連する仮想通貨を以下に記載しています。

・BAT(ベーシックアテンショントークン)

・FIL(ファイルコイン)

・JASMY(ジャスミー)

・GRT(グラフ)

・DOT(ポルカドット)

・BTT(ビットトレント)

・ENS(イーサリアム・ネーム・サービス)

・ICP(インターネットコンピュータ)

まとめ

ブロックチェーン技術によって強固なセキュリティを実現させたWeb3.0。今後のIT業界の発達には、プライバシーの尊重が欠かせません。国がWeb3.0を推進していたり、メタバースやNFTの需要の高まりをきっかけに、今後Web3.0の利用が増えると考えられています。

今後利用したい人の中には、仮想通貨の関連によって参入ハードルが高く感じる人もいるでしょう。Web2.0からWeb3.0への移行がされている今のうちに、Web3.0への理解を深めておくことがおすすめです。