新たな経済圏として注目を集めているメタバース。その市場規模は日本のみならず世界的に拡大しており、多くの企業やユーザーが今後の動向に注目をしています。しかし、急速な発展によってどのくらい拡大しているのか具体的に理解している人はまだ少ないのではないでしょうか。
この記事では、日本国内・世界のメタバースの市場規模がどのくらいなのか、今後の推移の予測をグラフを交えて解説していきます。この記事を読んでメタバースのさまざまな可能性への期待を高めてみてくださいね。
メタバース市場とは

メタバース市場とは、売り手と買い手が仮想空間上で売買をする場所のことです。一般的な市場と基本的な取引の流れは同じですが、「全てのやりとりを仮想空間上で完結させる」という点がメタバース市場の大きな特徴といえます。
メタバース市場の代表例は、ゲーム業界やファッション業界などです。現在のメタバースはゲームとしての認知度が高く、市場規模はゲーム分野がもっとも大きくなっています。ゲーム内では、アイテムをNFTとして個人の資産にできるのが特徴です。
世界中のさまざまな企業がビジネス展開のためメタバース事業への参入を検討したり、実際に事業の展開をはじめています。今後もメタバース市場の動向に注目をしていきましょう。

2020年から現在までのメタバース市場規模

2020年頃から、日本を含め世界的にメタバースの市場規模が拡大しています。では、なぜ急速に拡大したのでしょうか。その背景にはおもに2つの理由があります。
1.コロナウイルス(2020年~)
2.Facebook社の社名変更・メタバース事業表明(2021年10月28日)
1つ目は2020年から流行が始まったコロナウイルスが影響しています。外出自粛や在宅ワークが促された結果、オンラインコミュニケーションが主流となりオンライン会議などのツールを取り入れる企業が増えました。
2つ目は2021年10月28日に発表されたFacebook社の「Meta」への社名変更と、メタバース事業への展開が影響しています。年間100億ドル(1兆円)という多額の出資も表明したことから大きな話題を呼びました。
日本を含めた世界中の企業が参入を開始していくことで、市場規模はさらに大きなものとなっていくことが予想されます。
日本国内の市場規模
2022年に国内市場動向調査を行った矢野経済研究所は、「2021年の国内市場規模は744億円にのぼり、5年後の2026年には1兆円を超える」という予測をしています。
まずはビジネス向けのサービスが先行して普及し、次いで消費者向けのサービスが普及をしていくという見立てであると明らかにしました。
国内のメタバース事業を行っている代表的な大手企業は以下の通りです。
・パナソニック
・KDDI
・任天堂
・大和ハウス工業株式会社
参照ページ: メタバースの国内市場動向調査を実施(2022年)|ニュース・トピックス
世界の市場規模
メタバースブームが始まった2021年~2022年の市場規模を、総務省と調査業者RNPLがそれぞれ調査を行いました。その結果2021年は4兆2640億円、2022年は6兆9826億円であったと発表しています。
この発表から、メタバースの市場規模が2021年~2022年の1年間で2.5兆円増加したことが明らかになりました。
世界のメタバース事業を行っている代表的な大手企業は以下の通りです。
・Meta(メタ)
・マイクロソフト
・ナイキ
・アリババ
参照ページ:総務省|令和4年版 情報通信白書|仮想空間市場など
2030年には78兆8,705億円と予測!グラフで推移を解説

1979年から始まった1Gは、日本の通信技術により現在5Gにまで発展をしてきました。5Gの同時多数接続という技術はメタバースと深く関連しており、最新の通信技術があるからこそメタバースが成り立っているといっても過言ではありません。今後の技術開発によってメタバースも同時に進化していくと考えられます。
総務省の令和4年版情報通信白書は、2030年までに世界のメタバース市場規模が78兆8705億円にまでのぼるという予測をたてました。2022年の市場価値と比べるとおよそ18.5倍となっていることが分かります。
日本国内・世界の市場規模の推移は以下の通りです。


メタバースがもたらす経済的効果

2020年頃から流行したコロナウイルスにより、ほかに類を見ないほどの世界的経済損失が起こりました。外出自粛をきっかけに自宅にいながらよりリアルなコミュニケーションがとれるメタバースアプリ・プラットフォームの人気が高まっています。
デロイトトーマツグループは、アジア圏でメタバースがGDP(国内総生産)に与える経済効果が2035年までに年間0.8~1.4兆米ドル(107兆円~187兆円)にのぼると推定しました。
アメリカと中国に次いでGDP(国内総生産)3位である日本の企業も、メタバース事業への検討・出資を発表しています。これらのことから、コロナウイルスによる経済損失はメタバースによる経済効果によって徐々に回復していくと考えられるでしょう。
メタバースの普及への課題

メタバースは、個人利用者やビジネスを目的とした企業から多くの注目を集めています。動画配信サービスYouTubeは、2022年2月18日にメタバース事業への展開を検討していることを発表しました。
このように大手企業が今後のビジネスを検討していく上で、メタバースは外せないものとなってきています。しかし、市場規模の拡大にともなって改善するべき課題があるのも事実です。
普及への課題をクリアしていくことでメタバースは日常生活にとけこみ、ユーザーはさらに増えていくことでしょう。現在挙げられている普及への課題は以下の2つです。
1.VR機器の価格・品質改善
メタバースを現実のように体験できるVR機器は、より没頭感を高めたいユーザーに人気となっています。以前よりVR機器の価格は下がってきたものの、数万円するものが多いというのが現状です。
メタバースのプラットフォームによっては10代のユーザーが大半を占めているものもあります。学生にも気軽に購入できるような価格設定を検討していくことが普及のポイントとなるでしょう。
さらにVRゴーグルを装着した際の重みによる疲れや、締めつけによる頭痛、酔いなどが懸念されています。これらもあわせて改善していくことが現在の課題です。
2.法律・ルールの見直し
メタバース内には、まだ現実世界のような法整備が整っていません。メタバースが急速な発展を遂げている反面、法律が追いついていないのが現状です。
この現状を打破すべく、2022年10月20日にICPO(国際刑事警察機構)が独自のメタバース「Interpol Metaverse」を発表しました。メタバース内での犯罪を取り締まるためには、まず実際にメタバースを経験・理解する必要があるとしたためです。
明確な法律が整うまでは、メタバース内で起こりうるなりすましや詐欺などには十分に注意して利用しなくてはなりません。
メタバースの今後の展望

メタバースはゲームとしての認識が高く、実際にゲームユーザーが大半を占めています。ファッションやビジネスへの利用も徐々に増えてきていますが、現時点ではまだまだ発展途上です。メタバース事業の拡大にともなって金融業界や医療業界、教育関連などさまざまな場面での活用が期待できるでしょう。
医療業界の具体例として、アバターを使ったカウンセリングや医療相談を行っている「メタバースクリニック」があります。精神的なことや面と向かって伝えにくいことなどもアバターを利用することで話しやすくすることが可能です。普及はまだまだこれからですが、さまざまな分野の医療機関がこのような活用法を検討しています。
今後のメタバースは、スマホやSNSのように私たちの生活になくてはならない存在へと変化していくでしょう。
まとめ
メタバースの市場規模は急拡大、急成長をとげています。メタバースの活用法に限りがないように、ビジネスチャンスも無限です。メタバースは数年後の私たちの生活になくてはならないものとなり、需要と供給の関係を確立していくと考えられます。
この記事を読んであなたも消費者として、あるいは販売者としてメタバースを活用してみてはいかがでしょうか。