CG技術の進歩により新しいキャラクターの形として登場したのが、バーチャルヒューマンです。MEME(メメ)は不完全な美しさと強い意志を持ったバーチャルヒューマンで、その個性的な姿に惹かれた人も多いのではないでしょうか。
この記事では、バーチャルモデル/インフルエンサーとして活動するMEMEについて詳しく解説していきます。MEMEが注目される理由やこれまでの活用事例、生みの親である株式会社アタリ (atali, inc.)についてもまとめました。
バーチャルヒューマンのMEME(メメ)とは
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MEMEは、CGで作られた頭部とリアルな人間の体が合成されたバーチャルヒューマンです。顔にはそばかすや痣を施し、あえてコンプレックスのある外見にすることでリアルな人間の姿を表現しています。
Instagram(インスタグラム)アカウントでは自身のことを「モデル・アーティスト」と名乗っており、自身がモデルを務めたクリエイティブや関わったアート作品を投稿しています。MEMEが動いている動画もアップされており、そのリアルさに驚くことでしょう。
私たちと同じく意志を持ち、現実世界に実在しているかのような姿が特徴のキャラクターです。
MEMEが注目される理由
MEMEがバーチャルヒューマンとして注目される最大の理由は、リアルさを求めた外見にあります。CGキャラクターは完璧な見た目ゆえにリアリティを感じないことも多いですが、MEMEにはあえてコンプレックスを持たせ、またそれを個性と捉えるキャラクターに仕上げています。
顔は独自で開発したシステムで生成し、メイクは実際の人間にも使用されるPhotoshopで調整されています。痣の表現にも工夫があり、実際に痣がある人の協力を得たうえで配慮を持った表現に仕上げました。
ルーズなヘアスタイルも特徴で、これはリアルなモデルのヘアスタイリングを参考に作成されたものです。Instagramの投稿ではポーズに合わせて少しずつヘアスタイルのニュアンスが変わり、クリエイターのこだわりを感じられます。
MEMEの活用事例
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モデルやインフルエンサーとして活躍しているMEMEの、おもな活用事例をまとめました。
貝印株式会社の広告モデル
2020年8月、総合刃物メーカーである貝印株式会社の広告モデルに起用されました。広告ではムダ毛に対し「#剃るに自由を」というテーマを掲げ、「ムダかどうかは、自分で決める。」というメッセージを発信しています。
グラフィックにはノースリーブを着たMEMEが両腕を上げて脇毛を見せる姿が大きく映し出され、インパクトのあるビジュアルから注目を集めました。それに伴い、MEME自身もSNSを通して剃毛や脱毛にまつわるメッセージを投稿しています。
LUNA(ルーナ)ナチュラルアップナイトブラの広告モデル
2023年4月、株式会社HRCが展開するLUNAナチュラルアップナイトブラの広告モデルに起用されました。MEMEは同商品のブランドアンバサダーである鈴木奈々さんとともに広告に登場し、バストに対する“それぞれの美”を表現しています。
広告では2人が肩を寄せ合う姿が見られ、実在するモデルと並んでもまったく違和感を感じないMEMEの姿に驚くことでしょう。
MEMEを開発した「株式会社アタリ(atali, inc.)」とは
2004年に設立された株式会社アタリは、最先端のデジタルコンテンツ制作を得意としたデジタルクリエイティブエージェンシーです。バーチャルヒューマンの企画に加え、VR・AR・MRなどのxR(クロスリアリティ)コンテンツの企画から実装までを行なっています。
2023年には画像生成AI「Stable Diffusion」でMEMEを使った検証を実施。さらにNHKエンタープライズと共に手話通訳バーチャルヒューマン”KIKI”(キキ)を開発するなど、先端技術への感度の高さがうかがえます。
まとめ
普通の人間のようにコンプレックスを抱え、完璧ではない美しさを持つMEME。バーチャルの存在でありながら強い意志を持ったキャラクターとして、人々に新たな価値観を提供しています。
MEMEを生み出した株式会社アタリは、CGを中心とした最先端の技術を活用し新しいコンテンツを作り続けています。バーチャルヒューマンが広告のあり方を変える日も、近いかもしれません。