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人工知能(AI)搭載のバーチャルヒューマン|接客や受付業務に活用

人工知能(AI)を搭載したバーチャルヒューマンが注目を集めています。最新の3DCG技術や対話型人工知能を使って開発されたバーチャルヒューマンは、すでに一般企業が起用を始め市場拡大は確実です。しかし、人工知能を搭載したバーチャルヒューマンがどのように活用されているのか、知らない人もいるのではないでしょうか。

この記事では、人工知能を搭載したバーチャルヒューマンの活用事例や具体例、作り方を紹介します。最先端技術の人工知能を搭載したバーチャルヒューマンのメリット・デメリットも詳しく知ることができるので、ぜひ参考にしてください。

人口知能(AI)搭載のバーチャルヒューマンとは

人工知能を搭載したバーチャルヒューマンとは、人間と対話し相手の感情を読み取って、適切な返答をする対話型AIを搭載したバーチャルヒューマンのことです。

バーチャルヒューマンは、「一方向型」と「双方向型」の2種類に分かれます。「一方向型」はモデルやインフルエンサーなど、発信がメインのバーチャルヒューマン。「双方向型」は高度な人工知能が搭載され、人間と対話し顧客対応もできるバーチャルヒューマンです。

どちらのバーチャルヒューマンも人工知能が搭載されていますが、双方向型バーチャルヒューマンにはより高度な技術が使われています。すでに活用されている受付や接客業務だけでなく、教育や医療の世界においても需要が高まっている注目の存在です。

一方向型のバーチャルヒューマンはこちらの記事で詳しく解説しています。

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人工知能を搭載したバーチャルヒューマンの活用事例と可能性

人工知能を搭載したバーチャルヒューマンは、すでに私たちの知る一般企業が採用し、社会で活躍し始めています。

ここでは、人工知能を搭載したバーチャルヒューマンが実際に活用されている分野を紹介します。

  • 受付・接客業務
  • 教育
  • 医療・介護
  • メタバース空間

受付・接客業務

人工知能が搭載されたバーチャルヒューマンは、受付や接客業務に適しています。vodafoneではすでに2020年から、一部の店頭でバーチャルヒューマンが接客業務を担ってきました。多言語を話し、表情や言葉から要望を汲み取ることができるので、高い顧客満足度を得ています。

人工知能搭載のバーチャルヒューマンは、企業の持つあらゆる情報を学習します。常に最新で正確な情報で受付・接客業務を行なうため、オンライン販売だけでなく企業の顔としても活躍しています。

現在はテキストでのチャットボット対応がメインですが、今後は画面上にバーチャルヒューマンが映し出され、対話のみで問題を解決してくれるようになるでしょう。

教育

鎌倉女学院高等学校では2019年にバーチャルヒューマン「saya」を授業に招き、AIについて高校生と「saya」が対話しながら共に学びました。

教育分野でのバーチャルヒューマンは、常に一定の品質を保ちながら情報を学習側に提供することが可能です。教師によって異なる情報の質や知識量に依存せず、時間や場所を選ばずに質の高い教育を受けられます。

近年、教育現場ではオンライン授業やリモート研修が増加しているため、バーチャルヒューマンの参入によってさらに進化していく可能性があります。

医療・介護

バーチャルヒューマンが医療施設や介護現場に存在することは、高齢化社会において非常に助けになります。ニュージーランドではバーチャル心臓病コーチが開発されました。オンライン診療によって深刻な待ち時間が解消されるだけでなく、日常的な見守りや雑談相手にもなっています。

また、患者の状態や感情の動きを読み取り、症状に適した声かけを行うため、患者が持つ不安に寄り添った対応が可能です。

介護用見守りロボットは現在も普及していますが、利用者の態度や話し方を汲み取り必要な情報を提供することはできません。今後はバーチャルヒューマンがその担い手となって、医師や介護士の代わりに利用者の健康を守るでしょう。

メタバース空間

3DCGで作られた仮想現実であるメタバース空間では、バーチャルヒューマンがメタバース内の案内人やNFTアートを販売する役割も担っています。

メタバース空間とバーチャルヒューマンは、どちらも3DCGのデジタルデータで構成されているため相性が良く、今後様々な試みがされるでしょう。

人工知能を搭載したバーチャルヒューマンの具体例

ここでは、実際に社会で活躍している人工知能を搭載したバーチャルヒューマンの具体例を紹介します。

saya

「saya」は17歳の女子高校生の容姿を持つバーチャルヒューマンです。夫婦3DCGユニット「TELYUKA(テルユカ)」が2015年にTwitterに投稿した一枚の画像から始まりました。

親しみやすい声と人間そっくりの仕草は、人間に似たものに違和感を感じる「不気味の谷」を超えた存在として注目を集めました。

これまでに株式会社NTTドコモの受付や自動運転のバス内での見守りだけでなく、企業の枠を超えて様々なプロジェクトに参加しています。

coh

「coh」は2021年にKDDI株式会社が開発した成人女性のバーチャルヒューマンです。日本科学未来館の案内役や、株式会社カネボウ化粧品が展開する化粧品のバーチャルモデルとしても活躍しています。

また、アパレル業界が抱える資源の大量廃棄問題を解決するためのシステムにも、cohが採用されています。商品の企画・デザインサンプルをバーチャルで共有し、資源の無駄をカットする取り組みとともに、2021年のミラノファッションウィークへ出展されました。

CONN

NTTコミュニケーションズ株式会社が開発した女性のバーチャルヒューマン「CONN」は、帰国子女でヨーヨーが得意なバーチャルヒューマンです。実在する男女9人のカタリストがモデルとなり、音声データや動作をスキャンしてCONNが制作されました。

2023年3月から同社内のワークスペースにおいて、顧客対応や提案など様々な役割を持つ「デジタルカタリスト」として採用されました。顧客と対話をしながら受付ゾーン、プレゼンゾーン、ライブラリーゾーンの全てをCONNが案内しています。

引用:NTTコミュニケーションズ株式会社

AI Avatar AOI

「AI Avatar AOI」は年齢も性別も種族も、働く場所に合わせて自由に変えられるバーチャルヒューマンです。株式会社アドバンスト・メディアが2022年に開発したAI音声対話アバターで、メタバース内のソーシャルVRアプリ「VRchat」で利用できます。

メタバース内で24時間365日、必要な時にいつでもサービスを展開することができます。業務上必要のない用語や有害な用語を除いているため、メタバースを商用利用する様々な企業から注目を集めています。

人工知能を搭載したバーチャルヒューマンの作り方

ここでは、人工知能を搭載したバーチャルヒューマンの作り方を紹介します。

バーチャルヒューマンは以下の技術を組み合わせて、人間と間違うほどリアルに作られています。

  • 3DCGでキャラクターを制作
  • 音声合成システムで自然な発音
  • AIチャットエンジンで言葉を生成
  • 自然言語処理技術で文脈を理解
  • 表情や音声で感情を認識

3DCGでキャラクターを制作

バーチャルヒューマンのキャラクターは3DCG技術で作られています。3DCG技術とは、コンピューター上で3次元の画像を作成・編集する技術です。

バーチャルヒューマンの持つ本物そっくりの髪や肌の質感は、精細な3DCGを使用することで、生身の人間に見間違うほどのリアルさを実現しています。

音声合成システムで自然な発音

バーチャルヒューマンの自然な発音や発声は、音声合成システムによるものです。音声合成システムとは、コンピューターを使って人間の声に似た音声を合成する技術です。

人間の声を細かく分析して似た音声を合成し、合成した音声に感情や表情を加えることで、より自然な発声や発音を表現します。

AIチャットエンジンで言葉を生成

AIチャットエンジンとはコンピューターを使って人間の言葉に応答し、自然な会話をするチャットボットを作成するための技術です。

バーチャルヒューマンのAIチャットエンジンは、膨大な量のテキストデータを学習しています。会話の中でスピーディーに言葉を理解し、自然な流れで対話が可能です。

自然言語処理技術で文脈を理解

自然言語処理技術とは、人間が日常的に使っている自然言語をコンピュータに処理させる一連の技術です。

人種や立場によって違うものごとの解釈や意図を、自然言語処理技術で理解しながら文脈から読み取ります。人間らしく自然な会話を成立させるために、単語だけでなく文の構成などを処理する高度な自然言語処理技術が使われています。

表情や音声で感情を認識

バーチャルヒューマンが話し相手の感情を読み取るために、顔認識技術と音声認識技術が使われています。

顔認識技術で相手の表情から感情を読み取り、喜怒哀楽などの感情を認識します。また、音声認識技術では相手が発した言葉を認識し、その言葉から感情を読み取ることができます。

利用者の感情に合わせてバーチャルヒューマンが対応を柔軟に変化させるので、顧客対応では特に期待される能力になるでしょう。

バーチャルヒューマンは、すでに様々な企業が採用し始めています。バーチャルヒューマンを利用するための費用についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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バーチャルヒューマンのメリットとデメリット

ここでは、バーチャルヒューマンのメリットとデメリットについて解説します。

バーチャルヒューマンのメリット

バーチャルヒューマンには、人間や他のロボットにはないメリットが多くあります。現在もバーチャルヒューマンが持つ様々なメリットに注目して企業や制作会社が開発を進めています。

以下がバーチャルヒューマンのメリットです。

  • 人間味がある
  • 人件費が削減できる
  • 多言語を話せる
  • 常に高品質を保つ
  • 労働力不足が解消される

人間味がある

バーチャルヒューマンは、これまでのデジタルで作られたキャラクターにはない、人間らしい温かみを持っています。

それは髪の毛や肌の質感が本物そっくりだからというだけでなく、相手の表情や声から感情を読み取り、共感したり気遣いの言葉をかけられるからです。

バーチャルヒューマンが持つ人間味がコミュニケーションをさらに円滑にし、企業や利用者にとってよい相乗効果を得られるでしょう。

人件費が削減できる

バーチャルヒューマンが利用者の応対にあたることで、今まで人間にかかっていた人件費を大幅に削減することが可能です。

バーチャルヒューマンは休憩や休日を必要としないため、24時間365日、稼働に制限がありません。また、昇給もなく福利厚生費もかからないので、様々な人件費をカットできます。

多言語を話せる

バーチャルヒューマンに言語を学習させれば、あらゆる言語を話せるので海外の顧客やユーザーと円滑でスピーディーなコミュニケーションができます。

ホテルのフロント業務はもちろん、交番でバーチャルヒューマンが外国人観光客に道案内をする日も近いでしょう。

常に高品質を保つ

バーチャルヒューマンは体調を崩すことも、スケジュールが合わないこともありません。常に最新で一定の高品質を保ちながらサービスを提供します。

一度学習したことはミスなく行い常に情報のアップデートも可能なので、日々進化する社会情勢に柔軟に対応できます。

労働力不足が解消される

バーチャルヒューマンは人間の従業員に代わって多様な業務をこなせます。現在普及しているロボットのようにパターン化した画一的なものでなく、求められているニーズを人工知能が導き出して対応します。

少子高齢化により労働力不足が深刻になっている現代で、バーチャルヒューマンの活躍により、人間が重要な業務に専念することができるでしょう。

バーチャルヒューマンのデメリット

バーチャルヒューマンにはデメリットもあります。以下がバーチャルヒューマンのデメリットです。

  • 外観に不快感を覚える(不気味の谷現象)
  • 導入コストが高い
  • 人の雇用が減る

外観に不快感を覚える(不気味の谷現象)

「不気味の谷現象」とは、人間に似ているものを見ると嫌悪感を感じる心理現象です。バーチャルヒューマンは親近感を与えるために人間に似せていますが、人間に似せたためにかえって嫌悪感を抱かせてしまうかもしれません。

しかし、記事前半でも紹介した「saya」は発表当初から「不気味の谷を超えた」と話題になり、他のバーチャルヒューマンも人間と見間違うクオリティに到達しています。

「不気味の谷現象」は谷という名がつく通り、嫌悪感を抱くレベルからさらに人間に近くなれば、逆に親近感を覚えるようになります。今後ますます技術が進化すれば、バーチャルヒューマンに親しみを持って接する人が増えるでしょう。

導入コストが高い

バーチャルヒューマンには最新の3DCG技術や自然言語処理技術が使用されていますが、企業自体が高度な技術を持っているケースはまだ多くありません。

現段階でバーチャルヒューマンを作るためには、制作会社に依頼して企画・制作する必要があります。また、バーチャルヒューマンの静止画なのか動画なのか、どの程度までリアルに作るのかなどによっても料金形態が変わります。

顧客対応には高度な人工知能(AI)を搭載する必要があるため、導入コストは高額なものになるといえるでしょう。

人の雇用が減る

バーチャルヒューマンが活躍するようになると、人間に代わって様々な業務をこなすため、人の雇用が減るでしょう。

これまでもレストランでの配膳や、企業への問い合わせ対応をロボットが行うシーンが増えています。バーチャルヒューマンが人間と対話をして個別の問題を解決したり、気軽に相談できたりすれば、人の雇用減少はさらに加速するかもしれません。

まとめ

最新の人工知能が搭載されたバーチャルヒューマンは、すでに一般企業が様々なサービスに採用し、今後は接客や受付業務だけでなく、教育や医療にも利用される可能性が高まっています。

バーチャルヒューマンの市場がさらに拡大し、私たちの日常になくてはならないものになる未来が、すぐそこまできているのかもしれません。