バーチャルインフルエンサー

バーチャルヒューマンが広告の未来を変える? 起用のメリットや話題のimma、MEMEを紹介

CGで作られた人間そっくりの「バーチャルヒューマン」が、近年注目を集めています。本物の人間のようにファッションモデルやインフルエンサーとして活躍していますが、実際にどのような広告に起用され、どのようなメリットがあるのでしょうか。

この記事では、バーチャルヒューマンを広告に起用した具体例や、広告起用のメリット・デメリットをご紹介。日本で有名なimmaや中国で人気を博すAYAYI、ムダ毛の広告で話題となったMEMEについても解説します。バーチャルヒューマンが広告の新たな未来を切り開くかもしれませんよ。

バーチャルヒューマンを広告に起用した具体例

バーチャルヒューマンが広告に起用された、実際の例をご紹介します。

MEME(メメ)

一般的に”美しい”とされる造形に留まらない不完全さが魅力のMEME(メメ)。自分の容姿にコンプレックスを抱えたMEMEのキャラクターは、まさにリアルな人間らしい姿と言えるでしょう。

MEMEが注目を浴びるきっかけとなったのが、2020年に公開された貝印の広告です。髪を無造作に束ねたMEMEが両腕を上げて脇毛を見せる印象的な広告は、SNSを中心に話題となりました。この広告は、その後第74回広告電通賞 SDGs特別賞受賞を受賞しています。

バーチャルヒューマンを起用することで一般的なタレントに付帯する余計なイメージを与えず、「脱毛をする・しないは自分で自由に決めたい」というメッセージそのものを純粋に伝えることに成功していると言えるでしょう。

YU(ユウ)

YU(ユウ)は大手アパレルブランドのGUがオリジナルで開発した、バーチャルモデルです。ランダムに選ばれた200名の女性の平均データをもとに制作され、身長158cm、中肉中背とリアルな体型なのが特徴。GUのWEB限定ムービーに本物の人間のモデルと一緒に登場しました。

「スタイル抜群のモデルのように服を着こなせない」といった消費者の悩みに寄り添い、あらゆる人が親近感を持てるキャラクターに仕上がっています。体型や性格を自由に設定できるバーチャルヒューマンならではの活用例と言えるでしょう。

imma(イマ)

東京オリンピックの閉会式に登場したことでも話題を集めたimma(イマ)。2023年2月現在、日本でもっとも有名なバーチャルインフルエンサーで、トレンドファッションを着こなしイベントなどに参加した写真をSNSにアップしています。

大手スポーツメーカーのPUMAと、バロックジャパンリミテッド人気のブランドであるSLYのコラボアイテムのモデルを務めた経験も。「変わりゆくTOKYOの今」を、現実と非現実を行き来するimmaが体現しました。

その活動は国内のみに留まらず、中国でもスマートフォンやアイスクリームなどのCMに起用されています。

AYAYI(アナイ)

中国初のバーチャルヒューマン(開発を手掛けたのは日本)である、AYAYI(アナイ)。中国の人気ソーシャルECアプリ「小紅書(RED)」で活動を開始するとすぐに多くのフォロワーを獲得し、海外の化粧品ブランドとのタイアップも行いました。

AYAYIは2021年に中国を代表する世界的企業アリババグループに就職し、ECモール「天猫(Tmall)」のイベントナビゲーターに就任したこともあります。今後はアーティストやブランドディレクターとして活動する予定もあり、バーチャルヒューマンの可能性を広げていく存在となるでしょう。

Lil Miquela(リル・ミケーラ)

2023年2月時点でもっとも影響力のあるバーチャルヒューマンが、アメリカ発のLil Miquela(リル・ミケーラ)です。FENDIやPRADAといった数々の世界的ブランドとのタイアップを実現してきました。

Lil Miquelaが人気ブランドOff-Whiteのアイテムを身につけると、同ブランドの月間検索数は68%に増加。その他にも、身に付けたアイテムの月間検索数が43%増加するなど、その影響力は計り知れません。

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バーチャルヒューマンを広告に起用するメリット・デメリット

バーチャルヒューマンを広告に起用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。デメリットと併せてご紹介します。

メリット

バーチャルヒューマンを広告に起用するメリットは以下の通りです。

自由に作り上げることができる

バーチャルヒューマンの最大の特徴は、作り手が見た目や性格を自由に決められる点です。そのため、企業やブランド、商品のイメージにぴったりの人物像を作り上げられます。

人種や性別、年齢も思いのまま。人間離れしたスーパーモデルから、一般的な体型まで再現できます。

スキャンダルや炎上が回避できる

モデルやタレントにはスキャンダルが付きもので、元々のイメージを崩すようなできごとによりCMを降板することも珍しいことではありません。また、SNSなどでの発言がイメージダウンに繋がることもあります。

しかし、バーチャルヒューマンなら作り手が設定したイメージから逸脱することはありません。勝手に行動したり発言をしたりすることがないため、スキャンダルや炎上のリスクを減らせます。

場所や時間の概念を超越できる

人間が仕事をする以上スケジュール管理が必須ですが、バーチャルヒューマンにはその概念がありません。移動時間や移動コストもかからず、時空を超えた撮影も可能。一般常識を超えた表現ができます。

コンディションに左右されない

生身の人間の場合、どうしてもコンディションによって外見や気分に変化が出てしまうもの。しかし、バーチャルヒューマンは常に同じクオリティを保てます。

髪が伸びてヘアスタイルが崩れることも、年齢によって見た目が変わることもありません。場合によっては、あえて体型などに変化をつけるのも作り手の自由です。

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デメリット

バーチャルヒューマンを広告に起用するデメリットとしては、バーチャルヒューマンの開発に時間とコストがかかること、既存のバーチャルヒューマンの人数が少ないことが挙げられます。

とはいえ、近年はオリジナルのバーチャルヒューマンを簡単に生成できるサービスや、開発を代行する企業も登場しているのが現状です。

続々と新たなバーチャルヒューマンが誕生していることもあり、タレント事務所に実際の人間と変わらぬ人数のバーチャルヒューマンが所属する日も近いかもしれません。

バーチャルヒューマンを広告に起用する方法

実際にバーチャルヒューマンを広告に起用する場合、オリジナルのバーチャルヒューマンを制作、もしくは既存のバーチャルヒューマンを起用する方法が考えられます。

オリジナルのバーチャルヒューマンを制作する場合は、バーチャルヒューマン制作サービスを利用するといいでしょう。静止画から動画までさまざまなニーズに合わせてバーチャルヒューマンを制作できるサービスが存在します。

既存のバーチャルヒューマンを起用する場合は、バーチャルヒューマンを開発している企業や専門のモデルエージェントなどを通して依頼をすることが可能です。日本初のバーチャルヒューマン企業である株式会社Awwや世界初のバーチャルモデルエージェントのVIMなどが挙げられます。

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バーチャルヒューマンは広告の未来を変える?

バーチャルヒューマンは、実在するモデルやタレントが抱えるリスクを負わずに企業や商品のプロモーションができる画期的な存在です。今後バーチャルヒューマンの需要が増えるにつれて、よりバーチャルヒューマンを広告に起用しやすい体制が整っていくことでしょう。

現時点では静止画での活動が多いバーチャルヒューマンですが、すでに動画にも登場しており、今後はライブ配信などにも対応していくと言われています。実在する人間と同じ、もしくはそれ以上の可能性を秘めたバーチャルヒューマンは、すでに広告の常識を変えつつあると言えるでしょう。

まとめ

実際の人間と見分けがつかないほどにリアルなバーチャルヒューマン。近年注目度が高まっており、世界的企業を含むさまざま企業が広告に起用しているのが現状です。

バーチャルヒューマンだからこそ表現できる世界観や訴求は、すでに多くの人の心を動かしています。これからさらに活躍の場を広げていくバーチャルヒューマンの未来が楽しみですね。