バーチャルヒューマンとは、CGで作られた仮想人物のこと。技術の進歩により、人間と見分けがつかないほどリアルなバーチャルヒューマンも登場しています。しかし、「テレビやSNSで見たことはあるけど、詳しくは知らない」という人も多いのではないでしょうか。
この記事では、バーチャルヒューマンとはなにかを知りたい人に向けて、バーチャルヒューマンの仕組みやメリット・デメリットを解説します。バーチャルヒューマンへの理解を深めたい人や、ビジネスに活用したい人はぜひ最後までチェックしてくださいね。
バーチャルヒューマンとは
バーチャルヒューマンとは、CG技術によって人間を模して作り上げられた仮想人物を指します。広義では「初音ミク」といったアニメ風のキャラクターも含まれますが、近年注目されているバーチャルヒューマンの多くは人間と見分けがつかないほどリアルな容姿が特徴です。
バーチャルヒューマンのおもな仕事は、「モデルなどのタレント業」と「接客などのサービス業」に分かれます。バーチャルヒューマンは動画内で動いたり言葉を話すことができるうえ、AI技術を取り入れることでコミュニケーションも可能。リアルな人間に近い行動がとれると言っても過言ではありません。
また、SNSで多くのフォロワーを持ち、影響力を持つバーチャルヒューマンのことをバーチャルインフルエンサーと呼びます。バーチャルモデルとして活躍するimmaなど、バーチャルインフルエンサーについて詳しく知りたい人はこちらの記事をチェックしてください。
バーチャルヒューマンのメリット・デメリット
バーチャルヒューマンのメリットとデメリットは以下の通りです。それぞれ詳しく解説します。
メリット
- 理想の人物像を作り上げられる
- 制約を超えた自由な表現ができる
- 炎上やスキャンダルのリスクが少ない
- 常に同じ品質が保たれる
デメリット
- 好感を持たれない場合がある
- 開発に時間や費用がかかる
メリット
バーチャルヒューマンのメリットは以下の通りです。
理想の人物像を作り上げられる
バーチャルヒューマンはゼロから作り上げることができるため、企業やブランド、商品のイメージにぴったりの人物像を表現できます。外見はもちろん性格まで定められるのが特徴です。個性的なキャラクターから”普通”のキャラクターまで目的に合わせて作成できます。
制約を超えた自由な表現ができる
バーチャルヒューマンは人種や性別、年齢、体型などが自由に設定できるため、思いのままの表現ができます。訓練不要で複数の言語を話したり音程を外さずに歌ったりも可能です。
また、時間や場所の制約もないため長時間動き続けたり離れた場所を行き来したりと、人間には成し得ない行動にも対応できます。
炎上やスキャンダルのリスクが少ない
炎上やスキャンダルはタレントに付きもの。しかし、バーチャルヒューマンは実在しないため、スキャンダルや炎上のリスクが少ないのが特徴です。キャラクターが勝手に発言したり想定外の行動を取ることがなく、イメージを崩しません。
常に同じ品質が保たれる
本物の人間は日によってパフォーマンスに差が出ることがありますが、バーチャルヒューマンは常に同じコンディションを保てるため品質に差が出ることがありません。体調不良の心配もなく、高いクオリティを保てるのが魅力です。
デメリット
バーチャルヒューマンのデメリットは以下の通りです。
好感を持たれない場合がある
バーチャルヒューマンはリアルさを追求しているとはいえ、特に動画の場合、まだ少し不自然さが残るのが現状。容姿がリアルな人間に近い一定のレベルにおいて不気味さを感じてしまう「不気味の谷現象」により、バーチャルヒューマンに好感を持たれない可能性があります。
しかし、近年の高いCG技術により、この不気味の谷を超えるキャラクターが誕生しつつあります。今後、さらなる技術の発展による改善が考えられます。
開発に時間や費用がかかる
リアルなバーチャルヒューマンの開発には高度なCG技術が必要なうえ、多大な時間や費用がかかります。
しかし、バーチャルヒューマンの需要が高まりつつある近年では、低コストで完全オリジナルのキャラクターで静止画を制作できるサービスや、バーチャルヒューマンの開発を請け負う制作会社も誕生しています。今後は、より簡単に開発や起用ができるようになるかもしれません。
バーチャルヒューマンの仕組みと作り方
バーチャルヒューマンは高い3D CG技術により、顔や体、目や唇といった細かな表情まで作り込まれます。体は実写で頭部のみCGが採用されることも多いですが、技術の進歩により全身CGのキャラクターも増える予想です。
動きのある動画を作る場合は静止画よりもさらに時間がかかり、声を当てる場合は単なる読み上げではなくトーンやイントネーション、アクセントなども細かく設定されます。
人間とコミュニケーションを取るバーチャルヒューマンの場合、AIチャットエンジン機能や自然言語処理技術に加え、対話する人間の表情を認識するAI技術も必要でしょう。
バーチャルヒューマンの活用例
バーチャルヒューマンが活用されている例を見ていきましょう。バーチャルインフルンサーの活動は、大きく分けてタレント業とサービス業に分かれます。
モデル・インフルエンサーなどタレント業
モデルやアイドル、シンガー、インフルエンサーなどSNSやエンターテイメントに関わる分野で活動するのが、タレント業のバーチャルヒューマンです。
例としては、日本発のバーチャルモデルのimma(イマ)や世界で影響力を高めるファッションインフルエンサーのLil Miquela(リルミケーラ )が挙げられます。雑誌や広告の人物がバーチャルインフルンサーばかりになるのも遠い未来ではないかもしれません。
SNSなどで大きな影響力を持つバーチャルインフルエンサーは、個性的な人物ばかり。今、日本・世界で注目を集めるバーチャルインフルエンサーについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
接客、見守りなどサービス業
接客や受け付け、見守りなど本物の人間の代わりにサービスを提供するのが、サービス業のバーチャルヒューマンです。バーチャルヒューマンの存在が、人間のスタッフの負担軽減や人件費の削減に繋がることが期待されています。
また、感情に流されず公平な判断が求められる医師や、毎回の講座で同じクオリティを求められる講師にバーチャルヒューマンを活用する実験も始まっています。
バーチャルヒューマンの可能性
バーチャルヒューマンの存在により、より自由な発信や人件費の節約、グローバルな活躍への期待が高まっています。
自由な発信ができる
バーチャルヒューマンなら、発信者により意味合いが変わるような内容やセンシティブな内容も外見や性別にとらわれずに発信できます。
人件費の節約ができる
バーチャルヒューマンに仕事を任せることで、人手不足の解消や人件費の節約ができます。バーチャルヒューマンが対応可能な業務と人間にしかできない業務を分担することで、より効率的に業務を遂行することができるでしょう。
また、バーチャルヒューマンは業務の習得が早く計算ミスなどをしない、何時間でも稼働できるというメリットもあります。
グローバルに活躍できる
バーチャルヒューマンは人間ほど時間を要さずに何ヶ国語も習得できるため、企業間の言語の壁を打破や海外進出のサポートが可能です。24時間稼働することで、時差の問題も解決します。
バーチャルヒューマンの課題
バーチャルヒューマンの導入により人間の仕事がなくなることや、情報漏洩の可能性が考えられます。バーチャルヒューマンに任せられる仕事と人間がやるべき仕事をよく考慮するとともに、バーチャルヒューマンのセキュリティ強化を進めることが重要です。
まとめ
CGで作られた仮装人物である、バーチャルヒューマン。近年、CG技術の向上により人間と見間違うほどリアルなバーチャルヒューマンが誕生しています。
外見や言語、時間の制約がなく自由に発信、稼働できることから、モデルなどのタレント業だけでなく接客などのサービス業での活躍も期待されています。人間と同じようにバーチャルヒューマンが活躍する時代は、もうすぐそこに来ているかもしれませんね。